自衛隊 2010 1 11

書名 防衛破綻
著者 清谷 信一  中公新書ラクレ

 「自衛隊は貧乏である」
「今の自衛隊は、セーターやジャージなど、
業務に必要不可欠な被服すら、
隊員に身銭を切らせて買わせているありさまだ」
「同じ調子で、任務に必要なパソコンも支給しなかった。
隊員たちは仕方なく、私物のパソコンを使い、
そこから交換ファイルで機密情報が流出した」
 どうして、こんなことになったのか。
昔、日本経済新聞に、消費者の嗜好として、
高級外車ポルシェに乗っていながら、100円ショップに通い、
アパートは、ボロという記事があったと思います。
 もちろん、このようなことは、個人の趣味嗜好の問題であり、
どのような買い物をしても、個人の自由でしょう。
しかし、軍隊が、これでは困ります。
 著者によれば、
「自衛隊が貧乏なのは金がないからではない。
金の使い方が下手なのだ」
「正面装備と呼ばれる馬鹿高い兵器を買うために、
セーターなどにまで金が回らないのだ」
「これは軍隊では極めて異常な状態である。
よほどの最貧国でもない限り、
セーターは支給されて当たり前の装備なのだ」
 そろそろ、スーパーでは、冬物のバーゲンが終わり、
春物を展示する時期です。
売れ残ったセーターを自衛隊に寄贈してはどうでしょうか。
 これが、長年続いた自民党政権の成果だとしたら、
実に悲しいことです。
自民党には軍事に詳しいタカ派議員が多数存在したはずです。
防衛利権には詳しいが、軍事には詳しくなかったのでしょうか。
世間から、そう疑われても反論できないかもしれません。
 ソ連崩壊後、新しい国防政策を考えなければならなった。
国防には、新しい思考が必要だった。
また、軍事産業の再編も考えなければならなった。
 しかし、日本の国防政策も、軍事産業も、
冷戦時代と、あまり変わっていない。
「同盟とは 2009 11 14」
 オバマ大統領の来日に伴い、
ニュースでは、「日米同盟」という言葉が目立ちました。
そこで、「そもそも同盟とは何か」ということを考えてみましょう。
 同盟というと、まず軍事同盟を連想します。
そうすると、日米安全保障条約は、軍事同盟でしょうか。
 もし、これが軍事同盟ならば、
日本の上空を通過し、アメリカへ向かうミサイルをすべて、
日本は打ち落とす必要があります。
 しかし、これについては、
日本政府は、否定的な見解を持っているでしょう。
 なぜか。
それは、日米安全保障条約は、軍事同盟というよりは、
保護条約のようなものだからです。
第二次世界大戦後、アメリカは、軍事的脅威から日本を保護する。
日本は軽武装で、商売に専念する、あるいは経済発展に専念する。
 そういう趣旨だったから、冷戦が終了してしまうと、
「アメリカは日本を守り、日本はアメリカを守らない」という奇妙な関係が、
浮き彫りになってしまったのです。
 本来ならば、冷戦終了後、
いや、戦後復興が終わり、日本が経済大国になった時に、
「同盟のあり方」や「日米関係」を再定義すべきだったのです。
 もちろん、こうした思考は、冷戦時代の思考かもしれません。
21世紀においては、たとえば、「日米経済同盟」や「日米政治同盟」、
あるいは「日米環境同盟」など、新しい思考が必要かもしれません。

















































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